硫黄島からの手紙
旦那と「武士の一分」を見に行く予定が、急遽変更。
見たい映画から、見るべき映画への変更だった。映画鑑賞という域を出た、体験でした。
パンフレットの26ページの最終行。帰りに寄った居酒屋で、号泣した。日ごろ温厚な旦那が「周りが変な目で見るから、ちょっと」と、注意するくらいに。
つまり、あんな思いをして日本に帰った帰還兵にとって、まだ戦いは続いているのだ。文中にも直接的に語られてはいないが、あれから、これまでの、“平和”の中での帰還兵たちの戦いや葛藤に思いを馳せ、涙が止まらなかった。
戦後を新たな戦前にしないために、私たちが、いや、私ができることはなんだろう?
日本人がもつ圧倒的な賢さと、日本人がもつ圧倒的な愚かさ。映画の中では描き分けられていた2つのキャラクターは、たぶん誰にも共存している。
あのような異常な状態で、わたしは自分の中にある2つを抱えて、どう生きていけるのだろうか?
関連する本を片っ端から読んでみたくなった。日本人に作れない映画だったかはわからないが、よくぞ作ってくれたとクリント・イーストウッドには感謝したい。日本人から見て首をかしげる些細な点はありながらも、無駄に日本人を入れれば大切な部分が伝わらなった可能性もあり、結果的には正解だろう。
俳優もみな、すばらしかった。
渡辺謙は冒頭の歩き方、話し方から、栗林中尉の人となりを見る側に見事に伝える。この人は本当に日本が誇る俳優だなと感じ入った。ラストサムライから、格段に進化(というよりも深化かな)した、ケン・ワタナベだった。
獅童は、もう当たり役。こういう役をやらせたら、この人の右に出る人はいないのでは?
大森南朋もよかった。でもパンフレットに載っていなくて、寂しい。
二宮くんもグレート!まったく演技していないように自然にそこに存在していた。彼を見て感心するのは、いつもここしかないというタイミングで涙を流す。
ただ、一番わたしがいいと思ったのが、バロン西を演じた伊原剛志。実在の金メダリストだという西という人物自体の魅力もあるのだろう。とても心に残った。
今が戦後であるように。
今が未来から見た戦前にならないように。
今、戦中である地球の現実に目をそらさないように。
この映画が、たくさんの方に、一人でも多くの方に見ていただけますよう、心から祈ります。
蛇足ですが、二宮君はパン屋の役だったのですが、大宮でパン屋をしていたと、何度も大宮が出てきて、うれしかったです。(西郷という人物は映画上の人物なのでしょうが)
もうひとつ。
生き恥を晒す、という言葉が死語になればと切に願います。自分の命よりも大切なものなど、基本的には何一つないのだと、大切な人に伝えたい。
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写真をアップしたまま、放置していたのには理由があって、ココログが長いメンテナンスに入っていましたのでした。